kintone導入背景
四国大学は、2021年にDX推進計画を策定し、3年ごとの短期計画でどのようなDX投資をするのかを明確にしている。
その中で、グループウェアの導入と、グループウェアの補完ツールとしてローコード、ノーコードのデータベース開発ツールの導入を決めた。
このカテゴリの製品として、かつて一世を風靡したロータスノーツが有名だが、国内製品としてはローコードツールの草分けであるkintoneも古くから認知していた。
大学の教職員が必要なアプリを自ら開発できるようにすることが、大学のDX推進を加速させるために必要であることから、kintoneの導入を決定した。
転記や二重入力などの手作業の削減
以前は、提出先や目的ごとなど、複数の様式に同じ内容を毎回記載する必要があった。
kintoneで教職員情報を一元管理することにより、必要な様式をボタン一つで出力できるようになり、情報をHPに即時に反映することも可能となった。さらに、業績評価に必要な情報の引継ぎも行えるようになり、二重入力も不要に。
情報授受や修正依頼連絡などの効率化
kintone導入前は、各種情報をメールやUSBで提出を行い、事務局が受領したファイルはファイルサーバーに格納していた。
また、提出状況はExcelやWordで管理し、手間がかかっていた。
kintone導入後は、ファイルの受け渡しから提出状況の確認、修正依頼まで全てkintone内で完結し、効率化を実現。
業績評価の負荷軽減と見える化
業績評価の提出など、進捗状況を見える化。
教職員への入力依頼などもkintoneから一括でメール通知できるようになった。今後はデータの集計やグラフ化も可能となる。
- 事業概要
- 建学の精神「全人的自立」のもと、社会に貢献できる実践的な力を持つ学生を養成
- 所在地
- 徳島県徳島市応神町古川戎子野123-1
- ウェブサイト
- https://www.shikoku-u.ac.jp/
kintoneの選定理由
日本語でのナレッジ情報量やサードパーティ製品ラインナップ、サポートサイトが充実
選定にあたり、まずは国内外のメジャーなローコード開発製品を全体的に検討。
最終的にkintoneと他の1つに製品に絞り、試用評価を行った結果、kintoneに決定した。
四国大学 情報教育センター長 住吉氏は「kintoneに決定した一番の理由はサポートサイトが充実していることです。kintoneは日本国内でのユーザ数に比例し、日本語でのナレッジ情報が圧倒的に多いです。 分からないことがあっても検索すれば、求めている答えに近い情報がすぐに見つかることも、私たちにとって非常に大きなメリットです。」と選定理由を語る。
さらに、ローコードツールとして単体価格が安価(アカデミック価格があることもあり安価)であることや、サードパーティ製品のラインナップも充実していることから、kintoneを使った業務アプリ構築の際に大きな助けとなることが想定できるなど、多くのメリットを実感したことが、kintone導入の決め手となった。
NTTデータ中国に導入を依頼いただいた理由
安価、低リスクでDX化された業務アプリ構築を実現
「当時、【教員業績管理システム】のカテゴリにおいて、複数の既成製品導入を検討していました。デモ説明などを受ける中で、既成製品では部分最適化しか実現できないことが分かりました。全体最適化を図りながらDXに対応するためには、kintoneを使ったフルスクラッチ開発の方がTCOの削減につながると判断しました」と住吉氏は話す。
【教員業績管理システム】開発における要求要件は、教員自身が行う業績管理の入力や提出を既存のWordファイルからの移行、事務職員が行う事務一式と、教員総覧やシーズ集のホームページへの自動公開、教員自己評価などのシステム上での実現であった。
さらに、researchmapとのAPI連携など複数の機能を一つのシステムだけで開発できるものを検討した。
kintoneではオプション製品を組み合わせることで、単体の既成製品を凌駕するDX化された業務アプリ構築ができることをNTTデータ四国・NTTデータ中国から提案。
住吉氏は「既成製品の場合、教員総覧のホームページ公開用データは静的HTMLとして出力されます。しかし、これを公開するとなると別途、公開サーバーの用意や、サーバー間の同期処理など追加工数が発生するうえに、ウェブサーバー運用に伴うセキュリティリスクも上がるなどデメリットがあります。」と語る。
システム構成図
kViewerで構築した教育研究者データベース
【四国大学 教育研究者データベース】https://www.shikoku-u.ac.jp/education/researcher/
kViewerで構築した産学官連携シーズ集
【四国大学 産学官連携シーズ集】https://www.shikoku-u.ac.jp/cooperation/region/renkeiseeds/
導入効果
オプション製品が流用でき、実際に教員がアプリ開発も
kintoneは、最初はグループウェアの補完ツールとして導入される予定だった。しかし、グループウェアとしての導入よりも先に、業務アプリ開発のプラットフォームとして四国大学に導入された。これにより、業務のDX化の見本が作られた。今後、新たなkintoneアプリを開発する際には、その設計や内部コードを参考にできることが、ローコードツールの利点であり、最大のメリットとなった。
さらに、教員業績管理システムの構築に伴って導入されたオプション製品を流用できる点は、その後の業務アプリとして開発をスタートさせた「合理的配慮管理アプリ」にとって大きな利点である。
「ウェブフォームやExcel出力、メール連携などのオプションは共用可能であり、これによりコストメリットが生まれています。さらに、大学教職員向けに実施された【kintone開発研修会】には48名もの参加があり、わずか2時間の研修で学内では多数のアプリが開発され、効果が既に現れています。研修にあたっては、サイボウズのサイトから【便利に使おうガイドブック】という3冊組の開発マニュアルをダウンロードできたり、必要な冊数を申し込めば郵送してもらえたりと、開発者にとって利便性の高い環境が整っていると感じました。」と住吉氏。
さらに、「今回のkintoneの導入に際し、NTTデータ四国様およびNTTデータ中国様からは、さまざまな開発パターンに対する最適な提案をいただきました。私たちが経験のない領域に関する要望にも、JavaScriptやライブラリを活用して対応していただき、大変助かりました。」と話す。
今後の展望
本格的な大学DXへ向け、kintoneを有効活用
四国大学では【四国大学DX推進計画】を策定。この計画は2021年から3年計画でDX基盤となるハード整備や、ペーパーレスシステム、ワークフローシステム、グループウェア導入など、さまざまな取り組みを合わせて進めてきた。
しかし、未だデジタル化されておらず手書処理をしている業務や、デジタイゼーションやデジタライゼーションに留まっている業務が多数ある。そこで、第2期となる【四国大学DX推進計画(2024-2026)】では、次世代高度LMSの構築やスマートキャンパスの構築を通じて、本格的な大学DXへの取組を進める予定だ。最終的には、データドリブンな大学DXを実現し、研究・学修・大学運営に関するDXを包括的に展開したいと考えている。その実現手段の一角を担うツールとしてkintoneを有効活用したい。
「日本最大のSIerとなるNTTデータグループを通して、kintoneアプリを開発していただきました。貴グループの幅広い開発能力を駆使していただき、どのような大学でも必要となる便利なソリューションとして、kintoneをデータソースとした生成AIが組み込まれたチャットボットアプリ(RAG:Retrieval-Augmented Generation)などの提案や、AI・数理・データサイエンスの人材育成強化に向けた産学官連携を期待しています。」と住吉氏は大きな期待を寄せている。
教員情報管理システムをはじめ、追加で開発を行った合理的配慮システムなど、複数の業務に関するkintone化のヒアリングをさせていただきました。大学様の業務について幅広い情報を伺うことができ、新たな発見の多いkintone導入となりました。
職員向けのkintone研修を実施した後、職員の方々自身で積極的にkintoneアプリを作成していることに喜びを感じています。
今後も四国大学様のDX推進にkintoneをより活用いただけるよう、NTTデータグループの総合力を活かしてサポートさせていただきます。
教員情報管理の仕組みについて「kintoneで構築できないか」とグループ会社のNTTデータ四国から相談があり、対応させていただきました。
ヒアリングの結果、将来的な学内DX基盤化も考慮して、kintoneを推薦。
お客様のご要望には、kintoneの標準機能だけでなく、必要に応じて最適な連携サービスもご提案。
特に、デザイン性や利用者の利便性に関わる部分については、精査した上でJavaScriptのカスタマイズを実施しました。